日本酒などの伝統産業と輸出の相性が悪い話
- Miyu Hosokawa

- 2 日前
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いつでも〜どこでも〜〜
Oh〜〜〜〜ハンニバ〜〜ルゥゥゥ〜〜〜♪
ブランディングコンサルをしている細川です。
ありがたいことに、最近は生産者支援の取り組みをしている企業さまと繋がっているおかげか、輸出やインバウンド集客の相談が増えてきました。
中でも相談が多く、提携企業が力を入れているのが日本酒。
しかし、実際には相談されても断ってしまうケースがほとんどです。
なぜならば輸出するための体制が整っていないから。
今回は「国内市場よりも海外市場のほうが大きいから、なんとなく海外を相手にしたい企業」向けに執筆しています。
伝統産業と輸出(アウトバウンド)は相性が悪い
日本には様々な伝統工芸品があります。日本酒だけでなく和菓子、陶器、着物、職人が作った籠など。海外の手工業品と見比べても、品質の高さやきめ細かさはピカイチです。
ところが、商社へアウトバウンドの提案を行うと、職人ものほど輸出しづらいなと感じます。なぜならば、品質や魅力ではなく「勝者が安心して取引ができる、仕組みではない」からです。
すなわち、一定の品質で安定供給できる仕組みではないため、アウトバウンドのためのスタートラインにすら立てないのです。
伝統産業でありがちな商社のNGポイント
輸出(アウトバウンド)する際には、多くの法規制や安全テストをクリアしなければなりません。実際には法規制を確認する以前に、「あ、御社は無理ですね」というケースがほとんど。
日本酒に限っては、私は瓶の色で断ってしまいます。
では、なぜダメなのでしょうか?
NGポイントは主に3つあります。
①契約の主体が曖昧
個人経営や家族経営、法人化していても実態が弱いなど。商社からすると、誰と契約してトラブル時の責任を誰が取るのかが曖昧でリスクしかありません。
例えば代理店契約の商材をインバウンド・アウトバウンドする際にも、責任範囲が甲乙どこまであるのかは非常に重要なポイントになります。
売り主は誰ですか?飼い主は誰ですか?あなたは、どの立場ですか?
契約形態はどうなっていますか?
また、商標や商材によっては成分表示の責任がどこにありますか?
ここが不明確だと、勝者は法的リスクを丸かぶりする可能性があるので、扱いません。
②安定供給ができない
輸出入どころか、商社を通じて量販店へ提案する時あるある「安定供給できない」です。これが理由で断る事も非常に多い。
特に伝統産業だと職人の体調やメンタル、寿命などに依存します。さらに年間の生産数が不明確で、供給ロットが読めないことも多いです。
日本酒の場合は、年度によって味に若干の変化があると言いますよね。それでは輸出できません。実際にタイの日本食料理や食材を扱っている会社へ提案した時、輸送時の品質の劣化を理由に成約になりませんでした。
また、発注時に「在庫がありません」だと、これも問題です。実際に、相談段階で「在庫がなくて、来月に届きます」と言った会社さまは「弊社ではお力になれません」ときっぱり事わられてしまいました。
③輸出の表示対応ができない
インバウンド・アウトバウンドでは、原産地証明や成分証明、規格書、輸出向けの表示対応など様々な対応が必要です。
例えばオリーブオイル。オリーブオイウルは気軽に「エキストラ・バー人」が使えません。酸度・官能検査・製法企画で厳密に定義されており、しかも国ごとに若干異なります。
これが輸出入のときに規格証明がなくて「食用オリーブ油」にランクダウンし、ブランド価格崩壊なんてことも。
また、輸入するオリーブオイルの「Heart Healthy」や「Anti-aging」が日本の薬機法・景表法・健康増進法違反にあたる事もあります。
私もオマーンのオリーブオイルの会社に「それでもやる?」って聞いて、彼らは進出することなく撤退しました。
なぜ隣の職人は輸出に成功しているのか?
相談を断るときに、必ず聞かれるのが「でも輸出入できている職人もいる」です。
よそはよそ!うちはうち!
輸出ができている職人は、製造者に徹していたり、実際にはそこから仕入れを行っている法人がいたりします。それが地場のメーカーだったり、プロデュース会社だったり、商社や営業代行だったり様々です。
また、実務を委託しているケースもかなりあります。相談者は契約や流通などの実務を委託したいからきているのでしょうが、そもそも輸出に成功している会社は「輸出専用のラインや製造体制」だったりします。
日本酒の場合は、「うちの酒蔵は伝統的な製造をしているけど、他所の酒蔵は輸出用の生産体制をとっている」ケースが多いです。
最近は無邪気に「生産者支援」している企業もある
私は6割近く断ってしまうのですが、「でも、もしかしたらできるかもしれない」と一縷の望みをかけて生産者支援の取り組みに力を入れているマーケティング会社に頼む例です。
そのようなマーケティング会社の志は素晴らしいのですが、「いい製品ですね!絶対売れますよ!」という全肯定には気をつけなければなりません。なぜならば、個人輸出での経験があっても、BtoB取引の経験がなかったり、そもそも制度を知らないケースがあるからです。
実際に、世界の展示会にはバイヤーが動くルートみたいなものがあったりします。
だいたい200万〜500万円ほどお金を投じれば、「東京ビッグサイトでの展示だったら成功する」ケースもあります。しかし、日本と同じ手法で出店した結果何が起こるのか。
商談段階で「実は法規制の問題でダメでした」と発覚するのです。そこから、輸出するための体制を整えられるならばいいでしょう。しかしきちんと業界研究をしてれば「最初から無理だった。500万円投じる必要がなかった」ケースが少なくないのです。
結果、資金倒れしてしまう……なんて会社もありました。
資金が尽きたら、どうする事もできません。経営判断を誤ったね、ドンマイ!としか言いようがありません。
なので、輸出入のマーケティングを検討する際には、慎重に検討しましょう。
まとめ
高品質と評価される伝統産業でも、実際の輸出では「体制が整っているかどうか」が問われます。そして、スタートラインにすら立てないケースは主に3つ。
①契約の主体・責任範囲が曖昧
②安定供給・安定品質が維持できない
③各国の法規制に対応した表示設計ができない
逆に輸出に成功している「他所の職人」や会社は、多くの場合が下請けとしての輸出体制が整っていることがあります。一方で「いい製品だから」「こだわりの製品だから」という楽観論で無邪気に生産者支援に乗り出している企業もあります。
確かに自分立ちのこだわりを認めてくれるのは心地よいかもしれませんが、実際には業界研究や制度を確認していれば「そもそも無理だった」というケースも少なくありません。
何となく海外を視野に入れる前に「果たして体制が整っているかどうか」を冷静に見極めましょう。本当に資金が尽きてから「どうにかして!」と言われても無理なので。



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