伝統産業が海外展開で失敗する理由|営業企画に問題あり?!
- Miyu Hosokawa

- 2月15日
- 読了時間: 5分
更新日:2月19日

いつでも〜どこでも〜〜
Oh〜〜〜〜ハンニバ〜〜ルゥゥゥ〜〜〜♪
営業企画・ブランディング支援をしている細川です。
営業企画の相談を受けていると「海外展開を検討しているが、何から始めればいいのか分からない。とりあえず有識者と情報交換をしたい」という問い合わせが一定数あります。
伝統産業や、健康商材、食品などの企業です。
しかし、実際には断ってしまうケースがほとんどです。
なぜならば輸出するための体制が整っていないから。
今回は「国内市場よりも海外市場のほうが大きいから、なんとなく海外を相手にしたい企業」向けに執筆しています。
伝統産業と海外展開の相性は悪い
日本には様々な伝統工芸品があります。日本酒だけでなく和菓子、陶器、着物、職人が作った籠など。海外の手工業品と見比べても、品質の高さやきめ細かさはピカイチです。
ところが、商社へ提案を行うと、職人業界ほど難しい。なぜならば、品質云々ではなく「商社が安心して取引ができる仕組みが整ってない」からです。
すなわち、一定の品質で安定供給できない。海外展開のスタートラインにすら立てないのです。
海外展開でよくある失敗ポイント3選
海外展開は、多くの法規制や安全テストをクリアしなければなりません。実際には法規制を確認する以前に、「あ、御社は無理ですね」というケースがほとんど。
私の場合、酒類は瓶の色で断ってしまうほど。
では、なぜダメなのでしょうか?
NGポイントは主に3つあります。
①商流設計が存在しない
個人経営や家族経営、法人化していても実態が弱いなど。商社の気持ちは以下の通り。
「契約者が誰なのか分からないし、トラブル時の責任を誰が取るのかが曖昧なんだよな〜。怖いな〜。やめとこ」
・売り主は誰ですか?
・契約の主体は誰ですか?
・お互いの責任範囲はどこからどこまでですか?
・表示責任は誰ですか?
商流設計が曖昧な企業は、商社・代理店・バイヤーから敬遠されてしまいます。
製品の問題ではありません。営業企画や営業設計の問題です。
②供給戦略が設計されていない
海外展開はおろか、国内での卸売でも安定供給は非常に重要です。
・ロットの設計
・生産計画
・在庫の戦略
・品質の均質化
特に伝統産業や、職人ビジネスがうまくいかない理由は、パッション先行だからです。「良い製品なのに」百貨店に置いた場合、供給できるのか?即完売して、次の仕入れが1ヶ月後……では話になりません。
私も「仕入れが読めないからね〜」で断られたこともあります。
これも営業企画の欠陥です。
③商品ありきで市場前提で設計されていない
海外展開では、原産地証明や成分証明、規格書、輸出向けの表示対応など様々な対応が必要です。
しかし多くの企業は「売れそうだから海外へ行きたい」と考えます。
順番が逆。だから失敗する。
市場設計→営業企画→商品設計でやるべきです。
オリーブオイルの話をしましょう。
オリーブオイルは気軽に「エキストラ・バージン」が使えません。酸度・官能検査・製法企画で厳密に定義されており、しかも国ごとに若干異なります。
これが輸出入のときに規格証明がなくて「食用オリーブ油」にランクダウンし、価格崩壊することも少なくありません。
また、輸入するオリーブオイルの「Heart Healthy」や「Anti-aging」が日本の薬機法・景表法・健康増進法違反にあたる事もあります。
私もオマーンのオリーブオイルの会社に「それでもやる?」って聞いて、彼らは撤退しました。
なぜ隣の職人は輸出に成功しているのか?
相談を断るときに、必ず聞かれるのが「でも輸出できている職人もいる」です。
よそはよそ!うちはうち!
輸出ができている職人は、製造者に徹していたり、実際にはそこから仕入れを行っている法人がいます。それが地場のメーカーだったり、プロデュース会社だったり、商社や営業代行だったり。
また、実務を委託しているケースもかなりあります。相談者は契約や流通などの実務を委託したいんでしょうが、輸出に成功している会社は「輸出専用のラインや製造体制」だったりします。
なので、無理なものは無理です。
そして、輸出入最大の問題は制度を知らない会社がマーケティング・営業代行に参入していることです。
無邪気に「生産者支援」している企業には注意
生産者支援の取り組み自体は素晴らしい!
ただ、「いい製品ですね!絶対売れますよ!」という全肯定には気をつけなければなりません。
なぜならば、BtoCでの経験があっても、BtoB取引の経験がなかったり、そもそも制度認識が甘いケースがあるからです。
実際に、世界の展示会にはバイヤーが動くルートみたいなものがあったりします。
だいたい200万〜500万円ほどお金を投じれば、「東京ビッグサイトでの展示だったら成功する」ケースもあります。しかし、日本と同じ手法で出店した結果何が起こるのか。
商談段階で「実は法規制の問題でダメでした」と発覚するのです。そこから、輸出するための体制を整えられるならばいいでしょう。しかしきちんと業界研究をしてれば「最初から無理だった。500万円投じる必要がなかった」ケースが少なくないのです。
結果、資金倒れしてしまう……なんて会社もありました。
資金が尽きたら、どうする事もできません。経営判断を誤ったね、ドンマイ!としか言いようがありません。
なので、海外展開は慎重に検討しましょう。
まとめ
海外展開で失敗する企業には共通点があります。商品は良いし、情熱やこだわりもある。しかし、肝心の営業企画が存在していない。具体的には、「商流設計・供給戦略・市場の前提」がありません。
結果として、「いい製品なのに売れない」のではなく、「最初から売りようがなかった」のです。
海外展開とは小手先のマーケティングでどうにかなるものでも、営業で出来るものでもありません。大切なのは、営業企画と営業設計ができるかどうかです。
もし、
・海外展開を検討している
・代理店戦略で悩んでいる
・商談が進まない
このような場合には、営業企画の再設計から着手してみましょう。
そして、営業企画の段階で不必要な赤字を回避できるケースは非常〜〜に多い!
開発が終わってテストマーケティングの段階で、「成分検査でアウトだった」は本当にシャレになりません!
また、
・自社だけでは市場認識に不安がある
・「いい製品ですね!売れますよ!」はありがたいのだけれど、成果が出る目処やKPIの話がない
・複数社相談しているが、どこと契約すればいいのか悩んでいる
場合は、お気軽にご相談ください。


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