【経産省】経済安全保障経営ガイドラインlite版②
- Miyu Hosokawa

- 2 日前
- 読了時間: 6分
「経済安全保障」と聞いて、自社は関係ないと考えていませんか?
先日、経済産業省より「経済安全保障経営ガイドライン」が発表されました。
マーケティングに関係ないって?それは大間違い。むしろ最初の指標にしたり、業界を横断的に考えたりするためには最も参考にするべき資料です。
とはいえ、経済安全保障は現場に丸投げしてはしてはいけません。経営判断が求められるからです。
今回は前回に引き続き、ガイドラインをもとに具体的なアクションプランを噛み砕いて解説していきます。

自社のビジネスを見える化する
最初にやることは、とてもシンプル!「自社のビジネスの全体像を、見える化すること」です。
ガイドラインでは「バリューチェーン」と書かれていますが、要するに、
原料はどこから来て、どこで作って、誰に売って、
何でお金をもらっているのか
これを国・地域・取引先ごとに整理します。
例えば、
・製造業:原材料の仕入れ先、生産拠点、販売先を一覧にする
・ソフトウェア会社:使っている外部ツールや部品(API・クラウド)を書き出す
・海外拠点がある場合:国内外すべて含めて把握する
バカにするな!それくらいやっている!と激昂したくなるかもしれません。しかし、意外と自社のフロー図を可視化できている企業は少ないものです。プロジェクト単位になると、各意思決定権を誰が持っているのかなどを把握していないケースはかなりあります。
ここで考えるべき問いは一つ。「もしここが止まったら、何が止まる?」
国同士の対立、紛争や制裁、災害や感染症、サイバー攻撃……。これらの出来事が起きたとき、「どの商品・サービスが止まるのか」「どの技術が失われる可能性があるのか」を事前に想像しておくことが重要です。
昔携わっていたプロジェクトで、命に関わるシステムトラブルに関しては、停電などの災害レベルで対応フローが明確になっていました。
経済安全保障は「コスト」ではなく「投資」
経済安全保障というと、「守り」「法令対応」「面倒なルール」というイメージを持たれがちです。
実際は違います。これは「 会社を長く続けるための投資」であり、「信頼を積み上げるための戦略」です。大企業ほどリスク管理がされており、だからこそ依頼されている印象です。
まさに、供給が安定している会社、セキュリティがしっかりしている会社、技術管理がきちんとしている会社は、取引先・金融機関・投資家から選ばれやすくなります。
確かに短期的にはコストが増えるかもしれません。しかし、中長期で考えた場合は、
・突然の取引停止を防ぐ
・信用低下による機会損失を防ぐ
・「安心して任せられる会社」という評価を得る
こうした形で、企業価値ー即ちブランドの一つとして返ってきます。
関係会社との対話が、初動の成否を分ける
経済安全保障は、一社だけで完結できる話ではありません。
なぜなら、原料は他社から買い、製品は他社に売り、お金は銀行から借り、ルールは国が決めるからです。
この関係者たちをまとめて、ステークホルダーと呼びます。即ち、会社を支えてくれている周りの方々です。
ではなぜ対話が重要なのでしょうか?
・いざトラブルが起きたとき、話が早い
・「なぜこの対策をしているのか」を理解してもらえる
・短期的なコスト増も納得してもらいやすい
確かにビジネスにおいて関係構築は非常に大切と言われますよね。関係構築とは即ち対話。常日頃から「今は困ってないしな」と対話をしないのではなく、1on1などを通じて関係性を深めることが大切です。
また、政府や自治体のHPを定期的にチェックしたり、地方自治体や支援機関と顔を繋いだりすることも重要です。
これだけで、いざという時の初動がまったく変わります。特に経営者としての成長はピンチに陥った時に、「助けて!」と相談できるかどうかとよく聞きます。
自立性の確保とは止まらない会社作りのこと
ガイドラインの中で何度も登場するのが「自立性確保」。なぜ自立性が必要なのでしょうか?
コロナ禍を経て、多くの企業が「モノが来ない」「部品が足りない」「物流が止まる」経験をしました。直近でもお米が不足したり、国同士の対立によって供給停止される例も増えています。
だからこそ必要なのが、「一か所が止まっても全部は止まらない」状態です。
具体的には、
・一社依存を避ける
・代替調達先を事前に探す
・緊急時にすぐ切り替えられる関係を作る
・必要に応じて備蓄を考える
斬炎ながら、短期的にはコストが増えます。しかし「止まらない会社」は「選ばれ続ける会社」になります。
不可欠性を高め、代わりのきかない会社になる
自立性確保に続いて、もう一つの柱になるのが不可欠性の確保です。即ち、「あなたの会社がないと困る状態」をつくること。
ポイントは「技術やノウハウを磨き、それを守る」ことです。どれだけ良い技術を持っていても、簡単に真似されたら意味がありません。
だからこそ、
・共同研究先の管理体制を見る
・委託先と一緒にルールを作る
業界によっては、商標登録や特許の登録なども有効でしょう。また、自社の強みは安さしかないと考えているならば、他社から相談を受けるパターンや、「こんなところが助かるんだよ〜」と仰っていただいたポイントをリストアップしてみましょう。それが強みであるケースはかなりあります。
組織と人を整える:続けられる体制をつくる
経済安全保障は、一度やって終わりではありません。状況は変わるし、リスクも変わります。
そのため、横断的に動ける体制を整えることが重要になります。調達や技術、法務、財務などがバラバラだと機能しません。理想は、
・経営者が直接指示できる
・司令塔となる各部門に対して、適切な権限を付与する
・各責任者を明確化しておく
また、この分野に詳しい人材を育てることも大切です。
それが、経済安全保障を「その場しのぎ」で終わらせない鍵になります。
まとめ
経済安全保障経営と聞くと、全く新しい領域のように聞こえますが、実際にはリスク管理を徹底しましょうねという話です。
そして、本ガイドラインで繰り返し言われているのが、「特定の状況下でビジネスが止まらないこと、自社の優位性を確立すること、そして信頼されること」です。
そのための経営のガイドラインであり、中小企業だからこそ差がつく分野でもあるのかもしれません。
本記事は、経済産業省が公開している「経済安全保障経営ガイドライン」をもとに作成しています。今後、経済安全保障に取り組む会社や、それでお金を得ようと考えている方は、必ず原文を読みましょう。

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