【経産省】経済安全保障経営ガイドラインlite版
- Miyu Hosokawa

- 5 日前
- 読了時間: 6分
更新日:2 日前
「経済安全保障」と聞いて、自社は関係ないと考えていませんか?
先日、経済産業省より「経済安全保障経営ガイドライン」が発表されました。
経済産業省が発表している媒体など、マーケティングに必要ないって?それは大間違い。むしろ最初の指標にしたり、業界を横断的に考えたりするためには最も参考にするべき資料です。
半導体不足、原材料価格の急騰、特定国への輸出規制、サイバー攻撃や技術流出リスク。これらは大企業だけの問題ではありません。
むしろ、
・取引先が限られている
・特定の仕入れ先や技術に依存している
・経営判断を少人数で行っている
中小企業ほど、影響を受けやすい状況にあります。
今回は経済産業省貿易経済安全保障局「経済安全保障経営ガイドライン」を企業経営者や、そのコンサルタント向けに噛み砕いて解説します。

はじめに
「経済安全保障」は、大企業だけの話ではありません。
ここ数年、「経済安全保障」という言葉をニュースでよく見かけるようになりました。正直なところ、多くの経営者にとっては国の話であって自社には関係ないと思ってしまうテーマかもしれません。
ですが経済産業省がわざわざこのガイドラインを策定したということは、官民連携して「経済安全保障」を確立したいということ。そして、「経済安全保障」経営の仕組み化や、それに伴うビジネスに対して、今後補助金が使われる可能性があるということです!
しかしなぜ、経済産業省がわざわざ策定したのでしょうか?理由は簡単。日本のあまねくビジネスは、世界と直結しているからです。
日本を取り巻く状況は、静かに変わっている
「経済安全保障経営ガイドライン」が策定された背景には、世界情勢の変化があります。
・最先端技術(半導体・AI・通信など)をめぐる国同士の競争激化
・関税や輸出規制など、「国境をまたぐ取引」が急に止められることが増えている
これは大企業だけの話ではありません。
大企業と取引している下請け・協力会社にも、同じ影響が降りてきます。
たとえば、
・いつも通り部品を仕入れていたら、突然「その国からは買えません」と言われる
・何年も使ってきたソフトやクラウドが、ある日使えなくなる
こうしたことが、現実に起き始めています。
実際にアメリカのトランプ関税によって日本の自動車メーカーは9000億激減。直近だと中国政府による日本への渡航自粛の影響によって、日本のインバウンド損失は1年間で最大1.79兆円に達すると考えられています。
日本政府の動向と官民連携の動き
日本の課題は主に二つあります。
・経済活動を維持するために、特定の国や地域へ過度な依存をせず、自立したビジネスモデルを構築する必要性
・日本が国際社会にとって不可欠であるような分野を戦略的に強化
日本政府は2022年以降、半導体や重要な資源を安定して確保したり、最先端技術への研究開発支援を行ってきました。
そして2023年には、「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン」を発表しています。
これは一言で表すならば、
官民連携して「止まらない産業」と「真似されない技術」を作ろう!
という宣言です。
経済安全保障経営に対する企業の本音
この話を聞いて、多くの経営者がこう思います。
仕入れ先を増やす?
セキュリティを強化する?
正直、コストが増えるだけでは?
これはとても自然な疑問です。実際問題、取引先を増やすことによって、その分複雑なビジネスモデルになってしまい、却ってリスクになることもあります。
でも経産省は、真逆のメッセージを出しています。
経済安全保障対策は「コスト」ではなく
将来の損失を防ぎ、仕事を増やすための投資
だと。要するに、国の意向は「やれ」ということです。
経済安全保障対策の具体的
難しい言葉を使わず、身近な例で考えてみましょう。
① 仕入れ先が1社だけ、は危ない
たとえば、
「この原材料はA社からしか買っていない」
もしA社が災害に遭ったり、国の規制で止められたりしたら、あなたの会社の仕事も止まります。中国政府が日本へ渡航制限をかけたことによって、中国人向けツアー会社が大打撃を受けているのがその典型でしょう。
安さだけでなく「止まらないか」も考えようというのが、経済安全保障経営の考え方です。
② 技術やデータは、勝手に漏れることがある
共同開発や外注先を通じて、
・自社のノウハウ
・図面やデータ
・システムの中身
が、知らないうちに外に出てしまうことがあります。
これは悪意を持って引き起こされるわけではなく、管理が甘さが原因で起きることも多いのです。例えば、外注先がUSBを持ち出して個人情報を流出させてしまった、はよくあるインシデントの一つです。
③ アメリカの事例
アメリカではすでに、「安さや便利さ」よりも、この会社は「安全か?信頼できるか?」が、政府調達や重要インフラの取引条件になっています。
つまり、安全対策をしていない会社は、最初から選ばれないのです。
海外へ輸出する場合、安定供給できるかどうかや法律・制度面をきちんとクリアした会社かどうかなどが重視されます。特に「安定供給できない」は最も弾かれる要件な印象です。
私も商社への提案時に「安定供給できない」ことが理由で弾かれたことがあります。
経済安全保障経営は「デリスキング」の考え方
ここで大事なのは、経済安全保障は「守りすぎる話」ではないという点です。逆に経済安全保障を気にしすぎていて、取引先を萎縮させるなど言語道断だと経済産業省は言っています。
あくまで「リスクをゼロにするのではなく、大事故を避けるための保険」のような考え方です。
実際問題、経済安全保障は短期利益に結びつかないかもしれない。しかし、中長期目線で対策しておけば、突然の取引停止や技術流出による競争力が低下した際に致命的な損失を防げるかもしれません。
実際に、NECといった大手IT企業は致命的なインシデントが起きた際の対策が練られており、年に1回必ず取引先企業は研修を受けさせられます。
そもそも「ステークホルダー」って何?
「経済安全保障経営ガイドライン」でよく出てくる言葉があります。
ステークホルダー。すなわち「あなたの会社に関わる人全員」を指します。
・取引先
・お客さん
・銀行
・株主
・従業員
・国や自治体
で、「あなたの会社がコケると巻き添えを食らう人たち」です。
経済安全保障対策は、この人たちから「安心して付き合える」と思ってもらうためのものでもあります。
主導するのは経営者
このテーマで、経産省が一貫していることがあります。
「経済安全保障は、現場任せにしてはいけない」
理由は簡単で、「経済安全保障経営」とはすなわち致命的なリスクが起きてしまった際に、会社の経営を存続するための考え方です。すなわち、経営判断が求められるため、現場の人間に委ねるなという話です。
実際問題、致命的なインシデントが発生してしまった場合、上司に報連相するのと同じです。
前半のまとめ
経済安全保障対策とは、「この会社はちゃんと続くよね?」と周囲から信頼されるための経営戦略です。そしてそれは、「取引を止めない」「技術を守る」「リスクに耐える」ための現実的な備えでもあります。
これを経済産業省がわざわざガイドラインを策定しているということは、「取り組め」ということでもあります。そして今後、そこに対して補助金やビジネスチャンスなども生まれてくるでしょう。
本記事は、経済産業省が発表した「経済安全保障経営ガイドライン」を経営者や、コンサルタント、コーチング、マーケティング責任者向けに分かりやすく翻訳しました。
次の記事では、ガイドラインに即してアクションプランを分かりやすく解説していきます。



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