【事例分析】なぜ薬機法違反にならないのか?サントリーのマーケティング設計を分析
- Miyu Hosokawa

- 2025年12月28日
- 読了時間: 6分
更新日:2025年12月31日

「薬機法で言えない」と多くの会社は言いますが、厳格に守りながら、長年にわたって売上を伸ばし続けている企業は実在します。
その代表例が、サントリーです。
健康食品・機能性表示食品という表現規制の厳しい領域において、同社は行政指導や炎上リスクを最小限に抑えながら、継続的な顧客獲得とブランドの信頼を積み上げています。
本記事では、同社が運営しているサントリーウェルネスの公式サイトの製品ページ、情報コンテンツなどの設計をもとに、なぜ薬機法に抵触せず、なおかつ顧客教育を成立させているのかを構造的に分析します。
目次
いつでもどこでもハンニバルゥ〜!な、ブランディングコンサルの細川です。
営業企画資料の制作を軸に、マーケティング・販路拡大支援を行っています。
「薬機法で言えないんだよなあ…」
健康食品・美容商材・サプリメント・化粧品といった業界で、このように思ったことはありませんか?
薬機法で言えないのではなく、構成が違反してしまってるのが大半です。早速ですが、成功事例の分析をしていきましょう。
健康・美容ビジネスの事業者、スタートアップ、制作会社、広告代理店、薬機法対応に悩むマーケティング担当者向けに書いています。
サントリーウェルネスの薬機法に則した構成

まず注目すべきは、サントリーウェルネスの公式サイト全体が、役割ごと明確に分解されている点です。
同社の主な構成は以下の通り。
・トップ・製品ページ(販売・クロージング)
・お悩みコラム・記事(教育・啓蒙)
・イベント・コミュニティ(行動変容・継続)
・メルマガ・LINE(関係性維持)
重要なのは、これらの構成が意図的に分断されていること。そして、同一ページで完結していないことです。
多くの中小企業は、教育・啓蒙・販売を同じ場所でやってしまいがちです。
このやり方は「製品を売るために、医学的な一般論を用いて誘導している」と判断され、薬機法・景表法リスクが高まります。
しかし、サントリーウェルネスの場合は「一般論→商品訴求」という危険な構成を意図的に避けています。とても参考になりますね。
製品ページの特徴:医学や一般論を語らない
では、代表的な製品「ロコモア」の製品ページを見ていきましょう。その前に典型的なNG例です。
※AIで作成した典型的なNG例です。実在の製品ではありません。






一方で、ロコモアの製品ページは、
・対象者の言語化(こんな方におすすめ)
・成分名・配合設計
・研究データ(※条件・出典明記)
・機能性表示食品としての届出表示
・GMP認証・研究年表
が中心です。
注目すべきは、「老化とは何か、なぜ筋力が低下するのか」といった医学的・生物学的な通説ほぼ語られていない点です。

語られているのはあくまで、
・何が含まれているか
・どのような研究報告があるか
・どの範囲まで言えるのか
つまり、販売フェーズに必要な情報のみ。
多くの企業がやりがちな、「危機感を煽る通説→ その解決策として商品提示」という構成を、採用していません。
お悩みコラムの役割:徹底した教育に専念
一方で、教育・啓蒙コンテンツであるお悩みコラムでは、生活習慣や食生活といったジャンルごとに解説しています。
今回は「体がだるいのはなぜ?考えられる原因とすぐに実践できる対処法」を取り上げましょう。
大まかな構成は以下の通り。
・体がだるいとは何か
・倦怠感の医学的な位置づけ
・生活習慣・ストレス・睡眠の話
・医療機関を受診すべきケース
極めて教科書的で中立的な内容が続きます。
重要なのは、
・商品名が全く出てこない
・「このサプリを飲みましょう」と推奨してこない
・最後は生活習慣・医療機関受診に着地する
という点です。
つまり、「体のだるさ」にアプローチした製品があるにも関わらず、全く売ろうとしていないことです。

逆に集客・啓蒙コンテンツとしてマーケティングの重要戦略に位置付けながら、「売り込まない」からこそ自然に売れる設計になっています。
サントリーウェルネスの薬機法に則した構成まとめ
①教育と販売を同じ文脈でやらない
今回参考にしたサントリーウェルネスの最大の特徴は、一点に集約されます即ち、
教育は教育の文脈で、販売は販売の文脈で、絶対に混ぜない。
一方で多くの事業者は、セミナーやYouTube、LPの中で、「教育・啓蒙・販売」をまとめてやってしまいます。その結果、薬機法や景表法リスクが高まるのです。
サントリーはその逆。
・教育:コラム
・啓蒙:コラム・イベント・メルマガ
・販売:製品ページ
それぞれを別チャネル・別資料・別目的で設計しています。
②データの使い方が示す「一線の引き方」
ロコモアの製品ページでは、研究データが多数掲載されています。しかし、
・最終製品ではないこと
・成分組み合わせでの研究であること
・対象者条件
・統計手法
が必ず明記されています。
これは単なるコンプライアンスではなく、「どこまでなら語っていいか」を企業側が明確に理解している証拠です。
逆に言えば、これが分からない企業ほど「グレーな言い換え」に走りがちになります。
なぜスタートアップは真似できないのか
よく「大企業だからできる」「資金力が違う」「私たちはグレーでも攻めなければならない」と言われますが、本質はそこではありません。
違いは、「教育・啓蒙・クロージング」のマーケティングをそれぞれ分解して考えているか?です。
・どこで教育するのか
・どこで売るのか
・それは同じ資料でやるべきか
この設計を無視してしまうと、「薬機法を遵守すると売れない」「だからここだけの話なんだけど…(耳打ち)」というやり方に走ってしまいます。
とはいえ、これらの設計をしたのちにきちんと表現ガイドラインを策定しておかなければ、今度は代理店やマーケティング会社が薬機法違反してしまう…なんてこともありえます。
制作会社・事業者が学ぶべきポイント
サントリーウェルネスの事例から学べることは、次の3点です。
薬機法対応は「表現」ではなく「構造」の問題
教育・啓蒙・販売は必ず分断する
売らない場所を意図的につくることで、売れる
これは営業資料・LP・セミナー構成すべてに応用できます。
サントリーウェルネスは、薬機法を理解した上で、マーケティング構成を設計しています。
だからこそ、無理に攻めていません。でも売れて、長期的に信頼を積み上げています。
健康ビジネスで尖らなければ成果が出ないと考えている場合は、まず構成を疑うべきでしょう。
「教育・啓蒙・クロージング」。それぞれを、どこで・誰に・何の目的で行うのか。
そこを分解できたとき、薬機法は「壁」ではなくなります。
※本記事は、公開されている情報をもとにした分析であり、特定企業の効果効能を保証・推奨するものではありません。
※また、参考にした企業の売上を保証するものではありません。




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